イルカのお話

私は精神的に疲れると、近くの水族館に行き、イルカの水槽から１時間以上離れない。それだけイルカが好きなのである。満員の時は迷惑がかかるので、基本的には平日を行くようにしている。

皆さんも少なからずイルカに癒されたという経験はないだろうか？

科学的には証明されていないが、イルカにはどうも癒しを与える能力があるようだ。

例えばイルカと同じ空間で過ごす事により、自閉症やうつ病患者に明らかな改善がみられたり、がんや交通事故のリハビリ効果を促進する効果があるのはよく知られている。

イルカによりこれらの病状回復を狙ったのがイルカ介在療法というものである。

イルカには健常者と自閉症患者を見分けることができるといわれており、自閉症患者や障害者には特別な対応をするようだ。健常者が水に入るといたずらをし暴れたりするイルカが、自閉症患者が水に入ると、暴れることなく、とても優しく、注意深くふるまい、おとなしくするという。またイルカは人の脈拍や血圧なども把握する事が出来、必ず麻痺のある方に回り込み、泳ぎをサポートする。

イルカと接することにより、今まで動くものを怖がったり、１人でいる時間を好んだり、その場に適した行動ができなかったり、親に対しても興味をしめさなかった自閉症患者が、イルカの注意を引こうとイルカの声を真似てみたりと自発的な行動をとるようになる。イルカと仲良くなれたことによって達成感を味わうことができ、自閉症患者の社会的スキルが上達するという。

うつ病や身体に障害を持っている患者も、イルカと接することで癒され、イルカと遊びイルカに受け入れてもらったことにより、「自分は世の中に必要な人間じゃない」などといったネガティブな考え方から解き放たれるという。

また仲間とのコミュニケーションや地形の把握、餌を探すために発する超音波が人体によい効果をもたらすのではないかとも言われている。

超音波はイルカだけでなく、滝の音や波のせせらぎなど、自然界から多く発せられている。この超音波はリラックスした時に出るアルファー波の分泌を促す。脳内がアルファー波で満たされると、人間が元来備えている、自ら病気を治す力、すなわち自然治癒能力が高まる。そのため精神的にも身体的にもよい効果が期待できるのである。これからの時代は、投薬ではなく自然治癒能力を高めて体を治す医療が求められていると思う。

さてここからがこのレポートの本題である。人間によるイルカの悲しい現実を知っていただけなけばならない。

日本においてのイルカ療法は海外と異なり、飼育したイルカを使用する。

では水族館やイルカセラピーで使用するイルカ、一体どこから来ているのであろうか？

残虐な追い込み漁により、無理矢理仲間や家族と引き離され、連れてこられるのである。そして仲間から引き離されたショックや長旅の疲れ、また狭い水槽で飼われるという環境に馴染めず、３ケ月で５割、１年以内に８割のイルカが命を落とす。うまく順応したイルカでも約3年しか生きない。ちなみに野生イルカの平均寿命は約30〜40年である。

また人間の手にはバクテリアが多く、それからイルカを守るため、毎日抗生物質を飲ましたり、注射をしている。つまり薬漬けだ。

さらに日本ではイルカを調教し、それを海外に輸出するという事まで行っている。つまりイルカをビジネスとして利用しているのである。

人間に癒しを与えてくれるイルカ。人間により悲しい思いをしながらも、それでも人間に癒しを与えてくれるイルカ。そのイルカに対してするべき事があるのではないだろうか？

イルカが人間に優しくしてくれるのであれば、人間もまたイルカに対して、もっと優しくなれなければならない。

最後に読者の精神的ショックを考慮し、これだけの表現にとどめたが、実際はあまりにも残虐すぎる実態があるという事はお伝えしておかなければならない。